concept

合成生物学による人工生命システムの創生により生命の起源から産業応用まで

合成生物学研究室木賀 大介 教授

担当科目:生化学、合成生物学、設計生物学
生命の情報と進化

  • 研究紹介research

    今世紀に入ってからのゲノム解析の進展などによる生命情報の蓄積と、DNAなど生体高分子を合成する技術の進展とにより、生命の「部品」を組み合わせて新規なシステムを合成する、合成生物学が勃興しています。この組み合わせの場合の数が膨大なため、システムを効率よく合成するために、数理モデルの活用が重要になっています。さらに当研究室では、生命の共通規格である、20種類、というアミノ酸の数を変化させることで、生命の起源から新世代の生物工学までを追及しています。

  • メッセージmessage

    本研究室では、以下の科学的・工学的な研究を進めていますが、絶対的な縛りではありません。本研究室を志望する皆さんが独自の問題意識を持って合成生物学、構成論的アプローチをとることを、研究室の運営者として応援したいと思います。

研究説明research activities

アミノ酸の種類が変化したタンパク質の人工進化
なぜアミノ酸の種類が20種類なのか、という生命の起源やアストロバイオロジー観点の疑問に答える科学的な興味の追求と、タンパク質工学への応用を行っています。

【バイオDX】細胞内における人工遺伝子回路の構築
ゲノム情報の蓄積と、DNA合成技術の進展により、複数の遺伝子を組み合わせた「人工遺伝子回路」を構築することが容易になってきました。ただし、遺伝子は「何をつくる」と「何時つくる」という2つの情報を持っています。タンパク質のアミノ酸配列を指定する前者は、もとの生物からのコピーが可能ですが、遺伝子間の相互作用を規定する後者は、私たちが制御系を設計しなくてはいけません。この制御システムを、つくることで理解する研究を、JSTさきがけの支援を受けて進め、その後JST CRESTや科研費新学術・学術変革などの枠組みの研究でより広く展開しています。

【DNAコンピュータ・生体高分子システムの作成】生命との親和性を持ったDNAコンピュータ
DNAコンピュータへの入力を、生命が産出する分子とします。また、このDNAコンピュータが出力するRNAをmRNAとしてタンパク質に変換します。将来は、病変部位の局所環境を察知してタンパク質製剤を作製するシステムを目指しています。

遺伝子を組み合わせたシステムを数理モデルに基づいて設計することで、このシステムを持つ生きた細胞を設計通りに挙動させることができる

遺伝子を組み合わせたシステムを数理モデルに基づいて設計することで、このシステムを持つ生きた細胞を設計通りに挙動させることができる

profile

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略歴ー

  • 1999年JST 横山情報分子プロジェクト 研究員
  • 2001年理化学研究所 リサーチアソシエイト
  • 2003年東京大学 先端科学技術研究センター 科学技術振興特任研究員
  • 2004年東京大学 大学院総合文化研究科 助手
  • 2005年東京工業大学 大学院総合理工学研究科 助教授・准教授
  • 2016年早稲田大学 理工学術院 電気・情報生命工学科 教授
  • 2008年-2012年(兼任)JST さきがけ研究者
  • 平成27年度日本学術振興会賞を受賞

学歴ー

  • 1994年東京大学 理学部 生物化学科 卒業
  • 1996年東京大学 大学院 理学系研究科 修士課程 生物化学専攻 修了
  • 1999年同 博士課程 生物化学専攻 単位取得の上退学
    同年 博士(理学)