concept

ライフサイクル思考を基にサステイナビリティを
工学的に検証する

サステナブル社会システム研究室天沢 逸里 准教授(康師傅寄付チェア)

担当科目:事業創造演習

  • 研究紹介research

    現代社会の生産と消費のあり方は明らかに持続不可能であり、世界規模の環境危機や社会経済的格差を導いています。サステナブル社会システム研究室では、社会が「より少ない資源でより豊かに暮らす」方法を明らかにすることを目指し、ライフサイクル思考に基づく社会システム設計と、そのシステムを支える様々な製品、サービス、そして技術の定量評価手法の開発に取り組んでいます。

  • メッセージmessage

    日々の生活では感じにくくとも、世界規模の環境危機は起こっており、社会経済的格差を導いています。環境・社会課題の解決に向けて、当研究室では環境影響を見える化するスキルを身につけることで、科学的根拠に基づいた解決策を導く力をつけていただきたいと思います。人間1人が世界を変えることはほぼ無理に等しいですが、みなさんにはチャレンジする機会があります。その機会を最大限活かせるよう、全力でサポートします。

研究説明research activities

地球が滅びてもいいと考えている人間はいなくても、地球への悪影響を最小限に抑える行動を取るのは容易ではありません。そんな時、どんな条件下でどれだけの環境影響が出るのかを「見える化」することで、何をすべきかのヒントになります。当研究室では、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment; LCA)という環境影響を定量化する手法を基盤に、様々な製品やサービスの環境影響を評価する手法開発と、評価結果に基づく社会システム設計に取り組んでいます。

主な研究テーマ
[1] 新規技術の環境影響評価
現在、環境負荷の削減に向けて様々な材料や技術が開発されています。しかし、研究開発段階の技術が社会に実装された時に、本当に負荷が削減されるのかは分かりません。そういった様々な新規技術の環境影響を評価するとともに、評価手法の体系化に取り組んでいます。
事例)バイオマスプラスチック、繊維リサイクル技術、機能性材料

[2] 消費者行動分析から探る、持続可能な消費と生産
大量生産、大量消費、大量廃棄が前提となっている現代社会の負のループから抜け出す上で、生産から消費に関わる全てのステークホルダーが行動を変えていく必要があります。その中でも特に不確実なのが消費者です。消費者は多様かつダイナミック。そして個人の意思と尊厳にも注意を払う必要があります。当研究室では、消費者が行動を変えうる環境製品やサービスを対象に消費者行動分析を実施し、消費者が取るべき行動を明らかにし、どのように行動変容を促すかを提案します。
事例)シェアリングエコノミー、サステナブルファッション

[3] サステナビリティ評価手法の開発
環境に配慮するだけでは世界は回りません。次世代へ続く社会を築くためには、経済と社会への影響も同時に評価する必要がありますが、このような多面的評価手法はまだ確立されていません。当研究室では、サステナビリティの評価手法確立に向けて、様々なケーススタディを実施しています。
事例)電子書籍、医薬品の費用対効果分析、蓄電池の社会影響評価

シェアリングエコノミーを代表するバイクシェアサービス。

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略歴ー

2010年
産業技術総合研究所 安全科学部門 テクニカルスタッフ
2013年
日本学術振興会 特別研究員DC2
2017年
東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 助教
2023年
同大学 先端科学技術研究センター 特任准教授
2024年
早稲田大学 カーボンニュートラル社会研究教育センター 准教授(康師傅寄付チェア)

学歴ー

2009年
Bachelor of Science, Materials Science and Engineering, College of Engineering, University of Washington
2014年
Master of Science in Engineering, Mechanical Engineering, Graduate School of Engineering, University of Washington
2017年
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム 博士課程修了。博士(サステイナビリティ学)