concept
未来の
エネルギーインフラを
デザインする
エネルギーネットワーク研究室喜久里 浩之 准教授
担当科目:電磁気学、エネルギー変換、
Power Systems Engineering
concept
未来の
エネルギーインフラを
デザインする
エネルギーネットワーク研究室喜久里 浩之 准教授
担当科目:電磁気学、エネルギー変換、
Power Systems Engineering
持続可能なエネルギー社会の実現に向け、電力を中心としたエネルギーネットワークの運用・制御・評価技術の開発に取り組んでいます。未来のエネルギーインフラをデザインするため、実験室に大規模な電力・エネルギーネットワークの仮想実証環境を構築し、デジタル技術と実際の電力機器を融合させ、実践的な検証を行なっています。国内外の研究機関や企業と連携し、最先端の研究設備を活用しながら、再生可能エネルギー導入拡大やエネルギーの安定供給に貢献する研究開発を、社会実装を見据えて推進しています。
カーボンニュートラルとエネルギー安全保障の実現に向け、世界は再生可能エネルギー中心の社会へと急速に移行しています。電力・エネルギー分野は約140年ぶりの大変革期であり、未来を創る好機です。当研究室では、最先端の研究でこの変革を牽引し、持続可能で強靭な未来のエネルギーインフラを築き、その発展を担う人材の育成を目指しています。グローバルな視点を持ち、研究活動を通して未来のエネルギーインフラをより良くしたいという、熱意あふれる皆さんとの出会いを心待ちにしています。
エネルギーネットワークは、私たちの社会活動と生活を支える大動脈であり、その重要性はますます高まっています。近年、地球温暖化対策としてのカーボンニュートラル実現や、エネルギー自給率向上によるエネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーの導入が世界中で加速しています。同時に、データセンターや水素製造装置、電気自動車といった新たな電力負荷の増加も顕著であり、これらを既存のエネルギーネットワークへ安全かつ効率的に統合することが喫緊の課題となっています。このような背景を踏まえ、当研究室では、多様なエネルギー源と負荷が共存する次世代エネルギーネットワークの実現に向け、「エネルギーネットワークにつなげる」「エネルギーネットワークを診る」「エネルギーネットワークを織りなす」という三つの主要な研究テーマに取り組んでいます。これらの研究を通じて、持続可能で強靭なエネルギーシステムの構築に貢献することを目指しています。
研究テーマ1:エネルギーネットワークにつなげる
研究テーマ1「エネルギーネットワークにつなげる」のイメージ(生成AIを利用)
再生可能エネルギー発電設備や、データセンター、水素製造装置、電気自動車といった新たな電力負荷機器を、既存のエネルギーネットワークへ安全かつ効率的に統合するための技術開発に取り組んでいます。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー電源は、その出力が気象条件によって大きく変動するという特性を持つため、電力ネットワークの安定性を維持しながら連系するための高度な制御技術が不可欠となります。また、データセンターのような大容量の電力消費設備や、電力系統の安定化に貢献しうる電気自動車、さらにはエネルギーキャリアとしての水素を製造する装置など、多様な特性を持つ機器をネットワークへ接続する際には、既存の接続ルールや技術的な制約を克服する必要があります。本研究テーマでは、これらの課題に対し、電力系統解析に基づいた最適な接続方法の検討、電力品質の維持と系統安定化に貢献する制御アルゴリズムの開発、そして新たな接続ルールの提案などを通して、より柔軟で強靭なエネルギーネットワークの実現を目指しています。
研究テーマ2:エネルギーネットワークを診る
エネルギーネットワークの安定運用に不可欠な状態解析・評価技術の開発に取り組んでいます。電力ネットワークにおける予期せぬ故障や異常に対し、その兆候を早期に捉え適切な対策を講じることは重要です。本研究テーマでは、大量の運用デー
研究テーマ2「エネルギーネットワークを診る」のイメージ
タやシミュレーション結果の解析にAI技術を活用し、故障予兆の検出や故障箇所の迅速な特定、復旧支援システムの構築などを推進し、エネルギーネットワークの信頼性向上と安定運用に貢献します。さらに、私たちが研究開発を進める新たな技術の性能評価においては、大規模な電力・エネルギーネットワークの挙動をリアルタイムに模擬可能な仮想実証環境(Hardware-in-the-loop simulation; HILS)が重要な役割を果たします。開発中の新たな制御アルゴリズムや機器が実際のネットワークに接続された際の影響や性能を詳細に評価することが可能です。これにより、安全性や信頼性を事前に検証し、技術的な課題を早期に発見・解決することで、研究開発の効率化と社会実装の加速に貢献します。
研究テーマ3:エネルギーネットワークを織りなす
研究テーマ3「エネルギーネットワークを織りなす」のイメージ
再生可能エネルギー主体の電力ネットワークにおける需給バランス調整のため、多様なエネルギー貯蔵とデータネットワークを組み合わせる技術開発に取り組みます。出力変動が大きい再生可能エネルギーの大量導入には、電力系統の安定化が不可欠です。そこで、蓄電池、揚水発電、EV制御、熱・水素貯蔵に加え、データセンターの計算負荷を時間・空間的に融通することで電力消費をシフトさせ、エネルギーをデータとして貯蔵する技術を検討します。これらの多様な貯蔵技術とデータネットワークを最適に連携させる制御・運用アルゴリズムを開発するとともに、気象・電力需要予測に基づいた最適な運用計画、複数エネルギーネットワーク間の連携による需給最適化、統合管理システムの構築を目指します。これにより、再エネ導入を促進し、安定かつ効率的なエネルギー供給に貢献します。